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シティを駈ける、ハイドパーク・ライディング

新緑の季節になるとロンドンっ子の憩いの場として賑わいを見せるハイド・パークでは、公園に併設されたポニークラブもまた乗馬を楽しむロンドンっ子や観光客の対応で馬も人もフル回転になる。観光客にも大人気な乗馬は、ロンドンの街景色を語る上で欠かせない風物詩のひとつとなっている。

Lifestyle 2018.07.11

シティを駈ける、ハイドパーク・ライディング

その昔、上流階級の社交の場ともなった道、ロットン・ロウなど、ハイド・パーク内には乗馬用道路が充実している。公園から少し離れたステーブルからは馬で移動。車の通る道路を横切ってくる。Photos:NAOKI

 ストリート、アヴェニュー、ロード、アレー、ヤード・・・などなど、ロンドンには実に多くの街路名が存在する。その一つにミューズ(mews)と呼ばれる古くからの路地がある。もともと馬屋の立ち並ぶ小路であった場所をそう呼び、その石畳の小路の両側に建ちならぶ、昔ながらの箱型の家をリノベーションして住むのがロンドンっ子の間で人気となっている。ミューズはそれ以前にも、貴族階級に人気の高級住宅であったとされ、ロンドンらしい雰囲気をかもし出す独特の空間が大きな魅力だ。今回訪れた、シティで楽しむ乗馬の舞台はハイド・パーク。付近のハイド・パーク・ステーブルは、まさにミューズという地名にある。
 曇りがちで寒い日の多いイギリスだからこそ、太陽が次第に存在感を増して、鮮やかな新緑が心地よい季節になると多くの人々が公園へと足を向けるようになる。その代表的存在でもあるハイド・パークは、ロンドン中心部に位置する王立公園のひとつで、広大な敷地のなかではさまざまなスポーツが楽しめる。乗馬もハイド・パークの欠かせないスポーツとして人気を集めている。ここのステーブルの建物は1835年からあるが、ここでの営みはその当時とほとんど変わらない。もともと都市生活の交通手段としてロンドンでは馬が使われており、馬や馬車のいる風景はロンドンの風物詩のひとつでもある。また通称ブラックキャブと呼ばれるタクシーとも、馬が深いかかわりがあると知ってさらに興味をそそられる。
 ブラックキャブは、正式にはハックニー・キャリッジといい17世紀後半にタクシーとして認められた辻馬車を意味する。馬で引いたキャリッジには、馬のためのわらを載せることが法律で定められていた。そのスペースを確保するために、現在のブラックキャブもクラシカルな雰囲気が印象的なあの形になったともいわれている。また、ハックニーは本サイトのタイトルでもある、ラテン語の馬の意を持つEquus(エクウス)のフランス語である“Haquenée(アクネ)”に由来するとされ、どこまでも馬が生活に息づいた街であると実感させられる。そんなロンドンの中心部に位置するステーブルだけに、一般の観光客でもにぎわっているが、乗馬学校も併設されており、優秀なスタッフが初心者向けのコースからレベルに合わせたインテンシブコースまでと幅広く乗馬が楽しめるようになっている。オーナーのキャサリンは「映画女優や俳優など著名人もふらりと立ち寄ることも多いの。私はこの仕事をしていて、馬という魅力的な生き物を通して、世界各国の子供から大人まで、そしてありとあらゆるジャンルの人々と出会えることを誇りに思っている。貴重な体験だと感じているわ」と語る。都会の馬は思いがけないほど多彩な人と人を結びつける。