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アシエンダを巡るメキシコ馬紀行①_セプルヴェダ ホテル&スパ

アシエンダとはかつてメキシコの広大な土地を支配していたスペイン人の広大な荘園のこと。そのアシエンダが観光立国メキシコのハブステーションとして新たに注目されている。そのアシエンダで楽しむメキシコ流ライディングリゾートをご紹介。photos:Yasuo Konishi

Lifestyle 2019.05.17

アシエンダを巡るメキシコ馬紀行①_セプルヴェダ ホテル&スパ

広大な敷地が特徴のアシエンダでは、川あり山あり草原ありの敷地内だけでの乗馬も充分楽しいもの。加えてここセプルヴェダには1週間かけて近隣のアシェンダを巡るロングトレッキングも用意されている。まさに馬三昧のリゾートライフを満喫されてみてはいかがだろう。

スペインの乗馬文化が色濃く反映された、メキシコ乗馬の世界

スペイン文化の影響が色濃く反映されているアシエンダ。しかしそのアシエンダを活用したホテル&スパの佇まいはあくまでもメキシコそのものだ。そのことをいちばん感じさせてくれるのがメキシコ独特の色づかいだろう。特に太陽の光に映えるピンクと大地を思わせる褐色はこの国ならではの色といえるだろう。

マヤ文明の壮大なロマンが遺跡という形で点在するメキシコ、そこにサボテン、ソンブレロ、タコスなどを加えれば、一般的なメキシコのイメージの勢ぞろいだろう。しかし、現地で出会うメキシコはカラフルな色に溢れ、豊かな食文化をもち独自の多くの魅力に恵まれた観光大国だ。トランプ大統領の国境の壁問題ばかりがクローズアップされることもあって、発展途上国のようなイメージを保たれがちだが、実際にはメキシコはとても豊かな国。特に観光産業には国を挙げて取り組んでいて、メキシコの豊かな文化を堪能できるさまざまな演出が用意されている。そんな中でも乗馬はメキシコ観光のハイライトの一つで、スペインから持ち込まれた乗馬文化が色濃くここには息づいている。特にかつての大農場であるアシエンダを活用した乗馬ライフにはメキシコだからこその楽しみが溢れている。自然により近いリゾートであるこのアシエンダはメキシコ各地に点在する。ここではその中から乗馬を存分に楽しめる、おすすめのアシエンダの魅力をお伝えしよう。

荘園から自然派リゾートへ生まれ変わる、アシエンダ・セプルヴェダ

いちばん人気の部屋「チュラ・ビスタ(素敵な眺め)」。部屋名の通り、広々としたテラスから見える景色が素晴らしい。そしてひっそりと佇むプールも、大人のリゾートにふさわしい趣を醸し出している。

アシエンダとは日本流にいうならば荘園のことだ。メキシコにも広大な敷地を治める領主がいた。一時期は歴史の中に埋もれた存在であったが、その敷地内には領主が暮らす建物があり、その多くが現在でも残されていることだ。そのアシエンダが観光立国メキシコのハブステーションとして新たに注目されている。メキシコ各地にアシエンダはあるが、中でもアシエンダ・セプルヴェダは今でも厩舎を持つ馬を身近に感じられるリゾートだ。

メキシコにおいてアシエンダはかつての大農場制の負の遺産ともいえる存在だった。1910年のメキシコ革命で制度としてのアシエンダは消滅した。その後、所有者の移った多くのアシエンダは打ち捨てられ、廃墟としての運命をたどるかに見えた。

20世紀後半になると、世界的なリゾート開発ブームの中、その存在に注目が集まり、国外から資本が導入され1990年代に入るとにわかにメキシコ東部のユカタン半島でホテルやレストランとして蘇る。それがメキシコの観光業界における新しいトレンドとして広がっていった。こうした流れの中、メキシコ中西部でアシエンダ・セプルヴェダが2001年にオープンした。

このアシエンダは1684年にスペインから渡ってきたその名の由来となる、セプルヴェダ家がこの土地を所有したことに始まる。その後、約250年を経て、メキシコ革命後の1938年に現在につながるセラノ家の所有となる。

320ヘクタールにおよぶこのアシエンダを所有はしたものの、セラノ家でもほとんど手を加えずそのままの状態で維持し、時折親類が集まる場所として活用する程度だったという。そうした中で、ここにもアシエンダ再開発の波が押し寄せてきた。現オーナーのユアン・アルフォンソ・セラノ氏に政府からアシエンダ活用の要請があったのはオープン10年前のことだったという。

アシエンダの観光的価値が高まる中、資金的な援助を含め国や州がオーナーに施設活用を促したのだ。この地でのセラノ家3代目当主アルフォンソ氏は、この要請を前向きに受け止めメキシコ国内のみならず、スペインのパラドールの視察にも赴くなど、10年の準備期間を経て、満を持してオープンしたのだ。

 

スペインの遺跡ホテル“パラドール”に学んだ、アシエンダ・リゾート

乗馬が苦手な人向けに用意されているのが、この馬車。スペインからそのまま持ち込まれたような馬車の雰囲気はなかなかエレガント。園内にはクジャクや鶏などが放し飼いにされていて、馬車散策も飽きることはない。

このアシエンダの特徴はオリジナルの建物を極力活かしながら要所要所にはラグジュアリー感に溢れるデザインを取り入れていることだ。たとえば、メキシコの大地に馴染んだオレンジ色に彩色された建物を少し入って行くと、澄みきった水をなみなみとたたえた、すがすがしい印象のプールが待ち受けている。また、かつて飼料の保存庫だったというドーム型の建物はその形を活かしたまま高級スパとして活用されているなど、まるで路地の角を曲がった瞬間にまったく別の風景が現れるような新鮮な驚きが楽しい。

もうひとつは敷地内に厩舎があることだ。かつてアシエンダでは当然日常の足として馬を飼育していて、厩舎が付属していた。しかし、今も厩舎を使っているところは数えるほどしかない。セプルベダのあるラゴス・デ・モレノ周辺は伝統的に馬の育成や調教などで知られ、セラノ家もリゾート化する以前から馬を飼育していた。そして、アシエンダ・リゾートとして再生するにあたり、アクティビティの特徴として乗馬を大きく打ち出しているのだ。

1日乗馬から、1週間のロング・ライディングまでメニューも豊富

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のんびりしたピクニック&ライドから、野山を駆けまわるアクティブ・ライディングまで、それぞれのスキルに合わせて多彩な乗馬体験ができるセプルヴェダの騎乗メニュー。ベテラン揃いのスタッフがどのようなリクエストにも対応してくれるのが嬉しいかぎりだ。

敷地内や付近での乗馬は当然ながら、1週間以上におよぶアシエンダ巡りツアーを用意している。これはセプルベダを起点および終点として、馬に乗って周辺のアシエンダを訪れるもので、革命後ほとんど人の手が入っていないアシエンダや歌や踊りを披露するアシエンダなどにも行くユニークなツアーだ。また、初級者には馬車も用意されており、このリゾートの楽しみとして馬の存在は欠かせない。そして乗馬が苦手な人向けには馬車も用意されている。この馬車でゆったりと園内散策を楽しむのも、かつてのアシエンダ領主の気分が味わえてなかなかエレガントだ。園内にはクジャクや鶏が放し飼いされており、釣りやボートが楽しめる池なども揃っている。

さらにここの魅力を味わい尽くすのであれば自慢のスパは必須メニューだ。午前中に乗馬を満喫して、午後はゆったりとスパで時を過ごす。メキシコ伝統のサウナ「テマスカル」で乗馬の疲れを癒やすのはまさに至福の時といえるだろう。

15の客室はすべて違ったテイストで部屋選びが楽しいが、一番人気は「チュラ・ビスタ(素敵な眺め)」と呼ばれる部屋。その名の通り、広々としたテラスから見える景色が素晴らしい。そして2010年から新たに加わった7部屋はもともと厩舎だった場所だったこともあり、部屋の名はすべて飼育していた馬の名にちなんでいるという。大切な人とかけがえのない時間を過ごしたい宝石のような時間がここには流れている。

 

アシエンダ・セプルヴェダ ホテル&スパ Hacienda Sepulveda

Carretera Lagos – El Puesto #3132
Col. Sepúlveda
Lagos de Moreno, Jalisco , México
C.P 47515
tel. +52 (474) 746-54-01
fax. +52 (474) 746-54-02
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