トルコ中央部のアナトリア高原に広がる世界遺産、カッパドキア。大奇岩地帯が広がるこの地では、トルコの中でも馬の生産が盛んに行われている。今も牧場が多数あり、トルコの騎馬遊牧民さながらの外乗が体験できる。その背景にあるのは、紀元前1700年頃、ヒッタイト帝国の時代に馬の育成が盛んに行われ、トルコ民族もまた優れた騎馬遊牧民であったことに起因する。
イスタンブールから国内線で約1時間半。ネヴシェヒル・カッパドキア空港からさらに1時間ほど車で移動するとカッパドキアに辿り着く。乾燥した大地に広がる奇岩群は、想像以上のスケールで見る者を圧倒する。数百万年前、この地域の火山が噴火を繰り返し、火山灰や溶岩が降り積もって玄武岩や凝灰岩などの岩石地帯が形成された。その大地を風雪と雨水が浸食し、寒暖差といった自然の力が岩を削りとることで、不思議な奇岩群が生み出された。
カッパドキアという名前は古代ペルシア語の「カッパトゥカ」に由来し、「美しい馬の土地」という意味を持つ。ペルシア帝国の首都・ぺルセポリスの王の宮殿には、カッパドキア人がペルシア皇帝に馬を献上する場面が描かれている。
そのカッパドキアの中でも奇岩群が多く見られるのが、世界遺産に登録されているギョレメ国立公園だ。11世紀にアナトリアに侵攻したトルコ民族は、まるで神が創り出したかのような巨大な奇岩群を見て、「見てはならないもの」という意味の「ギョレメ」と名づけた。