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タイのゴールデントライアングルで体験する、エレファント・ポロの醍醐味

タイの最北部、ラオス、ミャンマーの3国が隣接するエリアは、ゴールデン・トライアングル(黄金の三角地帯)と呼ばれている。かつては麻薬の産地として名を馳せたジャングル地帯は今、動物と過ごす貴重な体験ができる場所に生まれ変わっている。Photos:Shinsuke Matsukawa

Lifestyle 2018.10.04

タイのゴールデントライアングルで体験する、エレファント・ポロの醍醐味

人気のアクティビティ、エレファント・トレッキングでは、象使いのトレーニングを受けた後、実際に象に乗って森や川を散策する。アジアゾウの体高は2~3メートルもあり、近づくとあまりの大きさに驚くが、不思議と恐さは感じない。

 ポロは、貴族や名士たちが嗜む“高貴なスポーツ”として知られている。一人のプレーヤーに対して最低でも2頭、通常であれば4頭の馬が必要で、それぞれの馬に厩務員がつき、さらにプレーヤーのサポートをするスタッフも、ということになればそれなりの規模の人馬チームを結成することになるというのがその第一の理由だ。趣味のスポーツにそれだけの出費を維持するために、それなりの財力が必要であることは言うまでもなく、それ故にポロは貴族や名士たちのスポーツというところに行き着く。

リゾートが用意したチームのポロシャツに着替え、ボートに乗って会場へ。地元の小学生たちも観戦に来ており、賑やかな会場にはお祭りムードが漂っている。

 

 そんなポロ競技を、馬ではなく象で行おうという催しが毎年タイで開かれている。国を象徴する動物として象を敬うタイだからこそ、高貴なスポーツであるポロを、象に乗ってプレイする「エレファント・ポロ」という発想に結びついたのだろう。このエレファント・ポロは、1982年にネパールで国際エレファント・ポロ協会が設立された後、アジアを中心に広まっていった。毎年「キングス・カップ」という国際大会が開催され、世界15ヵ国以上から選手が集う。

 参加チームにはメルセデスベンツや時計のオーデマ ピゲなど有名ブランドの名が連なり、セレブリティの間で近年特に人気が高まっているスポーツだ。
 チェンライ空港から車で約1時間。メコン川の支流、ルアック川の流れに沿った土地に広がる「フォーシーズンズ・テンテッドキャンプ・ゴールデントライアングル」では、初心者でもエレファント・ポロプレイヤーに変身し、ポロの醍醐味を存分に味わうことができる。
 エレファント・ポロは乾季(10〜3月)の間であれば体験できるが、試合に参加したいのであれば3月13日前後の滞在がおすすめだ。この日は、ナショナル・エレファント・デイという象に敬意を払うための日。リゾートではこの日を祝うために、エレファント・ポロ・トーナメントを開催している。

宿泊者同士でチームを組み、試合は7分間、1チーム3人象で行う。マフートと二人一組で乗り、声で指示を出しながら移動し、マレットで相手のゴールまでボールを打ち込んだら点数が加算される。ボールは通常のポロと同サイズだが、マレットは象の体高に合わせて約2メートルもある。

 

 宿泊者同士でチームを組み、試合は7分間、1チーム3人象で行う。マフートと二人一組で乗り、声で指示を出しながら移動し、マレットで相手のゴールまでボールを打ち込んだら点数が加算される。ボールは通常のポロと同サイズだが、マレットは象の体高に合わせて約2メートルもある。

 象の脚の間にもぐりこんだボールを打つのは至難の業だが、象をうまく操りながらマレットを振り、ヒットした瞬間は最高に気持ちいい。

 この大会はゴールデン・トライアングル・アジアン・エレファント・ファンデーションという組織との共催で、試合にはこの組織によって管理され、ポロの調教を受けた象が出場する。象は調教レベルが高いだけでなく、ストレス検査をしてポロを嫌がらない象を選んでいるという。「この組織では、人間の労働のために家畜化された後に放置された、行き場のない象を保護しています。ポロは象の保護や環境保全の啓蒙活動の一環として行っています」とディレクターのジョン・ロバーツ語る。

リゾートが用意したチームのポロシャツに着替え、ボートに乗って会場へ。試合前にはエレファント・ポロのボードを使って作戦会議も。

 

 また大会に出る宿泊者は、事前にマフート(象使い)・トレーニングで象の乗り方を学ぶ。「進め」は「パイ」と言いながら両耳を脚でキック、「止まれ」は「ハウ」と言いながら両膝を内側に締める。「曲がれ」は「ベーン」と言いながら曲がりたい方向とは逆側の耳をキックする。
 試合当日はリゾートが用意したチームのポロシャツに着替え、ボートに乗って会場へ。試合前にはエレファント・ポロのボードを使って作戦会議も行われるという本格的なもの。とはいえ地元の小学生たちも観戦に来ており、賑やかな会場には朝からお祭りムードが漂っている。大会終了後は森の中でバーベキュー・ランチを楽しめる。会場でマッサージが受けられるのもうれしいサービスだ。
 このイベントのディレクター、ジョンロバーツはネパールのタイガー・リゾートで勤務した後、1999年にタイに移住し象を保護するための基金を設立した。ノブレス・オブリージュの精神が息づいている大会でエレファント・ポロを満喫してはいかがだろう。
 この貴重な体験を提供してくれるフォーシーズンズ・テンテッドキャンプ・ゴールデントライアングル──手つかずの自然に包まれたこのリゾートは貴重なロケーションだけでなく、さまざまな冒険を楽しめるのも大きな魅力だ。
 人気のアクティビティ、エレファント・トレッキングでは、象使いのトレーニングを受けた後、実際に象に乗って森や川を散策する。アジアゾウの体重は約3~5トン、体高は2~3メートルもあり、近づくとあまりの大きさに驚くが、不思議と恐さは感じられない。馬は敏感な動物ゆえに接するときは少し緊張するが、その感覚が象には感じられないのだ。

 象に乗るときは鐙や鞍のような道具はなく、直接頭の上に乗る。象の耳の後ろに脚を下ろすと耳でしっかりおさえてくれて、象に守られているような不思議な安定感が生まれる。象の脳容量の大きさはチンパンジーと同程度で知能の高い動物だと言われている。このリゾートで暮らす象たちが穏やかなのは、愛情をかけて大切に管理されているからだろう。

地元の小学生たちも観戦に来ており、賑やかな会場にはお祭りムードが漂っている。大会終了後は森の中でバーベキュー・ランチを楽しめる。会場でマッサージが受けられるのもうれしい。

 

 宿泊する高床式のテントは全部で15棟。部屋からは広大な森とゆるやかに流れるルアック川が見渡せ、ときおり森の中を悠然と歩く象の姿も見られる。 アクティビティをたっぷり楽しんだ後は、谷間に設けられたスパ棟へ。タイのハーバルオイルを使って、熟練のセラピストが遊び疲れた体をほぐしてくれる。自然とともに遊ぶ最高の滞在を約束してくれるリゾートだ。
 料金は、宿泊費、食事、飲み物代などが含まれたオールインクルーシブ制。3月13日のナショナル・エレファント・デイの3泊パッケージには、これにマフート・トレーニング、ポロトーナメントへの参加費、90分間のスパトリートメント、空港からの送迎が含まれる(1泊79,000タイバーツ~)。大会参加者には名前入りのポロシャツ、キャップ、エレファント・ポロのルールブック、マフートバッグが配られる。

Four Seasons Tented Camp Golden Triangle,
Thailand P.O. Box 18,Chiang Saen Post Office,Chiang Rai 57150, Thailand Tel.66 (0)-53-910-200
www.fourseasons.com/content/fourseasons_microsites/jp/wonderworld-home/wonderworld-golden-triangle.html