馬の育成に昔から力を入れてきたハンガリーでは、200年以上も前に生まれたホースファームがハンガリー馬の素晴らしさを世界に知らしめている。前回に続いて今回は、「スィルヴァーシュヴァーラド国立ホースファーム」をご紹介しよう。Photos:Yasuo Konishi
Lifestyle 2019.12.27
美しい起伏に富んだ、緑豊かなスィルヴァーシュヴァーラドの村。リピッツァーナの生まれ故郷にも似た環境の中で、のびのびと育てられている。
ハンガリーでは、馬のいるところには必ずと言っていいほど馬車がある。またハンガリーでは馬を人に見せるときには必ず人間がその横を伴走して馬の駈ける姿の美しさを示してくれる。その歩様を見ることで馬のポテンシャルまで見極める、見る側もそれだけ目の肥えた人が多いということだ。
その後のヨーロッパにおける4世紀にも及ぶさまざまな戦いを避けるため、リピッツァーナはあちこちに分散され移動させられる。そうして辿り着いた先のひとつがハンガリーのスィルヴァーシュヴァーラド村だ。実はこのスィルヴァーシュヴァーラド村に落ち着く前に、バーボルナのスタッド・ファームで40年ほど飼育されていた。ところが、バーボルナのような平地で育成を続けると、リピッツァーナは次第に太っていき、体力も落ちてしまったという。ある程度の負荷をかけた運動が不可欠のリピッツァーナはその特性を踏まえたうえで、地形的にも故郷のリピッツァに似た環境を持つスィルヴァーシュヴァーラドの村が選ばれたのだ。
リピッツァーナ博物館。リピッツァーナについてのさまざまな資料が展示されている。この施設でも純血種の存続に力を入れているように系図が残されている。またハンガリーでは、馬が集団で買われている施設のほとんどに、馬車の博物館が併設されているといっても過言ではない。
馬の購入を考えている人には、自分で気になる馬を選んで時間をかけて試乗することもできるし、やんちゃな性格の元気な馬がいいとか、おっとりとした優しい馬がいいとか、自分の希望を伝えてスタッフに馬を選んでもらうことも可能だ。もちろん購入希望者でなくても、一般のゲストとして乗馬や馬車でリピッツァーナを存分に乗りこなすことができる。この豊かな自然の中でリピッツァーナに乗って外乗を楽しめる──、それだけでも、なんという贅沢だろうか。
H-3348 Szilvásvárad
Egri út 16 Hungary
+36 36 564 400
www.menesgazdasag.hu/en/foldal