かつてハンガリーに君臨した騎馬民族マジャル族。その栄光を現代に蘇らせたのがここで紹介するホースバック・アーチェリーの名手であり、その技の普及に日々奮闘するカッシャイ・ラヨシュ氏だ。photos:Yasuo Konishi
Lifestyle 2020.01.10
日本の流鏑馬にも似た騎射が特徴の「ホースバック・アーチェリー」。氏のアカデミーでは鞍やハミなどを使わず、馬とのダイレクト・コンタクトでお互いの意思疎通を図ることを第一にさまざまなトレーニングが行われている。
バラトン湖にほど近いカッシャイ・バレーと呼ばれるエリアに、ハンガリーの伝統的な建築法を採用して建てれたカッシャイ氏のアカデミー。道場の内部は、船倉を逆にしたような印象を受ける。そのあちこちに氏がさまざまな資料を研究して生み出された騎射のための馬具が置かれている。
“ホースバック・アーチェリー”といっても基本は矢を正確に射る訓練からはじまる。歩いて的に近づいていきながら次々に矢を射る、そして今度は少しずつ的から遠ざかりながら同じように矢をいっていく。この訓練を丁寧に行うことで騎射での正確さが増すことは言うまでもない。
鞭も何も使わず、お互いの信頼関係だけで馬を自在に操る。疾風怒濤の攻撃でヨーロッパの他民族を震え上がらせてきたマジャル族の原点が、この馬との強い絆にあったことはいうまでもない。氏のアカデミーではこの絆づくりに多くの時間が費やされている。
鞍もあぶみもつけずホルターだけで馬をコントロールして、まずは池の中に入っていく。その後、馬場に戻って馬と向き合いながらさまざまな訓練を行う。取材したのが夏ということもありほとんどのライダーが裸同然の出で立ちで馬と対峙する。
手綱も持たず、アイズ一つで自在に馬を操るトレーニング。馬に駆け寄りそのまま馬の下をくぐり、一斉に手を叩く。これだけの動きに対しても馬は一切動かない。いかに日頃の馴致の中で馬と人との信頼関係が構築されているかの証でもある。
H-7521 Kaposmérõ Rákóczi str. 122. Hungary
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